私は以前、床に傾きのある戸建を知らずに買ってしまって痛い目に会った経験があります。
相場よりもかなり安く、しかも土地値の半値程度だったので、失敗しても更地にして売ればいいと思い、内覧したときに即決した物件です。
リノベーションする際に、大工さんに指摘されて初めて傾きに気づきました。
その物件に関しては、その後色々ありましたが、現在では入居者さんがいます。傾きは直さずそのままですが、傾きについては納得していただいて相場より安い賃料で入居していただいています。
この大失敗から学んだこと。
売主や仲介業者の言うことは基本的に信用せず、物件はすべて自分でチェックするということです。
この一件依頼、内覧の際には必ずオートレーザー(レーザー墨出し器)で傾きがどの程度かチェックすることにしています。
よくビー玉を転がしたり、平衡器を床に置いてチェックしている投資家さんがいますが、これらの方法だとあまり正確には測れません。
オートレーザーなら水平方向にも垂直方向にも正確に傾きを測ることができます。
オートレーザーを内見やDIYの際に、かれこれ8年以上使い続けてきた私が、不動産投資家がオートレーザーを使うメリットを挙げてみたいと思います。
正確な測量と設計
高精度な水平・垂直ラインの確保
オートレーザーは、高精度な水平および垂直のラインを簡単に引くことができます。これにより、以下のような作業がより正確に行えます。
部屋の間仕切り設置: 新しい間仕切りを設置する際に、壁が真っ直ぐであることを確認できます。
タイルの配置: 壁や床にタイルを貼る際に、均一で美しい仕上がりを実現します。
棚や家具の取り付け: 水平を保ちながら取り付けることで、見た目が良く、機能的にも優れた仕上がりになります。
作業の効率化
時間と労力の節約
オートレーザーを使用することで、手作業での測量やマーキングの手間を大幅に削減できます。これにより、作業の効率が向上し、工期を短縮できます。
一人で作業可能: 手作業では二人以上必要なことが多い測量やマーキング作業も、一人で効率的に行えます。
瞬時に水平・垂直ラインを表示: ボタン一つで正確なラインが引けるため、時間を大幅に節約できます。
多用途な利用
さまざまな用途に対応
オートレーザーは、建築・リフォーム以外にもさまざまな用途で利用できます。
外構工事: フェンスや門の設置、駐車場のレイアウトなど、外構工事でも正確な測量が求められます。
照明の配置: 照明器具を均等に配置する際にも、水平・垂直ラインが役立ちます。
家具の配置: 家具や家電の配置を計画する際にも、正確な測量が必要です。
長期的な投資としての価値
・耐久性と信頼性
高品質なオートレーザーは耐久性があり、長期的に使用できるため、一度購入すれば多くの現場で利用可能です。
コストパフォーマンス: 初期投資は必要ですが、長期間にわたって利用できるため、長期的にはコストパフォーマンスが高いと言えます。
信頼性: 信頼できるツールを使用することで、作業の信頼性が向上し、プロジェクトの成功率も高まります。
結論としてやはりオートレーザーが一番です。安いものなら1万円以内とかでもありますので、不動産投資家、大家業には必需品だと思います。
オートレーザーの選び方
1. 用途に応じた選択
・基本的な用途を明確にする
内装工事: 室内の間仕切りや棚の取り付けなどに使用する場合、基本的な水平・垂直ラインを出せるモデルで十分です。
外装工事: 屋外で使用する場合は、明るい場所でも視認性の高いモデルを選ぶ必要があります。赤色レーザーよりも緑色レーザーが見やすいです。
2. 精度と範囲
・精度の確認
±1mm/10m以内: 高精度を求める場合、±1mm/10m以内の精度を持つモデルを選びましょう。一般的なDIY作業にはこれで十分です。
測定範囲: 使用する場所の広さに応じて、適切な測定範囲を持つモデルを選んでください。通常は10mから30m程度の範囲で使用できます。
3. 機能と特長
・多機能なモデルを選ぶ
クロスラインレーザー: 水平ラインと垂直ラインを同時に投影できるモデルは便利です。
自己補正機能: 自動的に水平・垂直を補正してくれる機能は使い勝手が良いです。
傾斜機能: 傾斜ラインを投影できるモデルもあります。特殊な角度での設置や施工が必要な場合に役立ちます。
4. 耐久性と信頼性
・耐久性の確認
防水・防塵: 屋外や工事現場で使用する場合は、防水・防塵性能があるモデルを選びましょう。
耐衝撃性: 落下や衝撃に強いモデルを選ぶことで、長期間安心して使用できます。
5. コストパフォーマンス
・予算に応じた選択
価格と機能のバランス: 高機能モデルは高価ですが、基本的な作業には中価格帯のモデルで十分な場合もあります。予算に応じた選択が重要です。
コストパフォーマンスに優れたオートレーザー(レーザー墨出し器)
傾きの許容範囲
購入前に傾きを計測するとは言っても、中古戸建、しかも築古物件となると新築物件のようにまったく傾きがない物件などあり得ません。
ある程度の傾きは必ずあると思ってください。
ではどの程度の傾きなら許容範囲なのか?
住宅性能評価基準では、6/1000以上傾いていると構造上の瑕疵がある可能性が高いとされています。
1/1000の傾きとは床面の距離1mに対して1mmの傾きということです。
床の傾きを図る際には、3m以上離れた距離で測ることになっています。
ですので、6/1000とは、床の場合3m離れた位置で測って高さの違いが18mmということです。
傾き物件の判断基準
私の場合、築古物件を見ることが多いので6/1000未満の傾きならあまり気にしません。と言うより気にしていたら築古物件など買えません^^;
では6/1000以上傾いていたらどうするのか?
ケースバイケースです。
まだ現在進行形で傾きが進んでいるのなら見送りです。
傾きは進行は止まっていて、十分に安い物件なら検討してもいいと思います。ちなみに、傾きを直す方法は色々ありますが、結構高額になりがちです。
私が見積もりをとった業者で最安値は250万円程度。これは建物全体が傾いている場合で、土台から持ち上げて傾きを修正する比較的大規模な工事の価格です。
それら諸々を考慮した上で購入するか見送るかを決めます。ただ不動産投資初心者の方ならあれこれ考えず傾きのある物件は見送った方が安全かもしれません。
ちなみに柱も床と同じく6/1000の傾きで構造的な瑕疵の可能性が高いとされています。柱の場合は2m以上離れた位置で計測します。
また、それほどひどい傾きでないのなら、土台からではなく、束柱や根太を調整する等してある程度修正することができるそうです。この方法だと土台ごとジャッキアップする費用の数十分の一程度で済みますね。
結論
不動産投資初心者の方なら、傾きのある物件は見送った方が安全かもしれません。ただし、リスクを理解し、適切なツールや知識を持って判断することで、投資チャンスを最大限に活かすことも可能です。
オートレーザーを活用し、物件の傾きを正確に測定することで、不動産投資におけるリスクを減らすことができます。間違ってもビー玉を転がすなど不正確な計測はしないでくださいね。
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