私自身実感していることですが、大家業をやっていて、最も遭遇しやすい物件のトラブルのひとつは水回りのトラブルです。多くの大家さんに同意していただけるのではないでしょうか?
物件を購入して賃貸に出す前には、水回りは念入りにチェックしますが、入居後についてはほったらかしの大家さんが多いと思います。私もつい最近までそうでした。しかし、ある日、懇意にしている配管工の方からちょっとしたアドバイスをもらいました。
その配管工の方とは、大家としてできることできないこと、いろいろと議論した結果を今回共有したいと思います。 言うまでもないことですが、不動産投資家や大家として物件を管理する際、水回りのメンテナンスは非常に大切です。特に配管の寿命を延ばすための日常的なメンテナンスは、物件の価値を保つだけでなく、予期せぬトラブルを防ぐための鍵となります。
定期的な目視点検
配管の状態を把握するためには、定期的な目視点検が不可欠です。以下のポイントを確認しましょう。
漏水チェック: 水漏れがないか、配管周りを確認します。特に接続部分や古い配管には注意が必要です。
腐食の確認: 配管が錆びていないか、表面の変色や錆びの発生をチェックします。錆びは配管の劣化を早める原因となります。
異常な音: 配管から異常な音がしないかを確認します。異音がする場合、内部に問題がある可能性があります。
水圧の管理
水圧が高すぎると配管に負担がかかり、寿命が短くなります。適切な水圧を維持するために、次の点を実施します:
水圧計の設置: 水圧計を設置して、定期的に水圧をチェックします。標準的な家庭用水圧は45~55 psi(ポンド/平方インチ)程度です。
減圧弁の使用: 水圧が高すぎる場合、減圧弁を設置して水圧を調整します。
排水管の清掃
配管内に異物が詰まると、流れが悪くなり、配管に負担がかかります。定期的に排水管を清掃しましょう:
排水溝の清掃: キッチンやバスルームの排水溝を定期的に清掃し、髪の毛や食品ゴミなどの異物を取り除きます。
排水管クリーナーの使用: 定期的に排水管クリーナーを使用して、配管内の詰まりを防ぎます。ただし、強力な化学薬品は配管を傷める可能性があるため、使用には注意が必要です。
季節ごとのメンテナンス
季節によって配管にかかる負担も変わります。特に冬場は凍結対策が重要です。
保温材の使用: 冬季には、屋外の配管や露出した配管に保温材を巻いて凍結を防ぎます。
水抜きの実施: 長期間使用しない配管は、水抜きをして凍結を防ぎます。
プロの点検とメンテナンス
日常的なメンテナンスに加え、定期的にプロの配管業者に点検してもらうことも重要です。プロの視点から問題を早期に発見し、適切な対処を行うことができます。
信頼できる配管業者の見分け方
配管のトラブルを未然に防ぐためには、信頼できる配管業者を見つけることが重要です。以下のポイントを参考に、信頼できる業者を見分けましょう。
資格と認証の確認: 業者が必要な資格や認証を持っているか確認します。信頼できる業者は、適切な資格を保有しており、業界標準に従った作業を行います。
実績と評判: 業者の過去の実績や評判を調べます。オンラインの口コミやレビュー、知人の紹介などを参考にしましょう。
見積もりの透明性: 明確で詳細な見積もりを提供してくれる業者を選びます。不明瞭な料金体系や追加費用が発生する業者は避けましょう。
保証制度: 作業に対する保証制度があるか確認します。信頼できる業者は、作業後のトラブルにも対応するための保証を提供しています。
コミュニケーション: 業者とのコミュニケーションが円滑に取れるか確認します。質問に対して丁寧に答え、説明が分かりやすい業者は信頼できます。
賃貸物件のメンテナンス
ただ一度賃貸に出してしまうと、大家の目が届きにくい部分があるため、定期的なメンテナンスやチェックが難しくなることがあります。しかし、いくつかの対策を講じることで、物件の状態を把握し、問題を早期に発見することが可能です。以下の対策を検討してみてください。
1. 定期点検の契約
配管業者やメンテナンス会社との契約: 定期的に物件を訪問し、配管を含む全体的な状態をチェックしてもらいます。年に一度や数年に一度の契約を結ぶとよいでしょう。
点検報告書の受領: 各点検後に詳細な報告書を作成してもらい、配管の状態や必要な修理・メンテナンスについて把握します。
2. 入居者への啓発
入居者に日常的なメンテナンスの重要性を理解してもらうことも大事です。
入居者マニュアルの作成: 入居時に配管の取り扱いや簡単なメンテナンス方法を説明するマニュアルを提供します。例えば、髪の毛や食品ゴミを排水口に流さないことなどの基本的な注意点を記載します。
定期的な連絡: 定期的にメンテナンスに関する注意喚起のメールや手紙を送ります。これにより、入居者の注意を喚起し、適切な対応を促します。
3. メンテナンスのチェックリストの導入
チェックリストを用いて定期的な確認を行うことも可能であれば試してください。
チェックリストの提供: 入居者に配管や水回りの簡単なチェックリストを提供し、定期的な確認を依頼します。
報告制度の導入: 異常が見つかった場合に速やかに報告してもらう制度を導入します。報告を受けたら迅速に対応します。
4. 賃貸契約書への明記
賃貸契約書に配管に関する条項を追加
メンテナンス義務の明記: 賃貸契約書に、入居者が定期的なメンテナンスを行う義務を明記します。例えば、フィルターの交換や簡単な排水管や排水桝の清掃などです。
トラブル発生時の対応策: 配管に問題が発生した場合、速やかに大家に報告する義務を明記します。
5. スマートテクノロジーの導入
最新のテクノロジーを活用して配管の状態を監視
スマート水漏れセンサーの設置: 水漏れを検知するセンサーを設置し、異常を検知した際に大家や管理会社に通知が行くようにします。
リモート監視システムの導入: 配管の水圧や水質をリモートで監視できるシステムを導入し、異常があれば迅速に対応します。
6. 定期的な現地訪問
大家自身が定期的に訪問することもできれば実行したほうがいいです。自主管理の場合はもちろん、管理会社に任せている場合でもやった方がいいです。
点検スケジュールの作成: 定期的に物件を訪問するスケジュールを作成し、実施します。訪問時には、入居者に了承を得て配管の状態を確認します。
コミュニケーションの維持: 入居者と良好な関係を維持し、定期的な訪問が負担にならないようにします。
突発的な水のトラブルの対処法
突発的な水のトラブルは、賃貸物件の管理において避けられない問題です。いくら予防策を講じていても、急な漏水や詰まりが発生することは避けられない場合もあります。以下に、突発的な水のトラブルへの対処法を解説します。
1. 初動対応
速やかな対応が被害を最小限に抑える鍵です。
a. 水を止める
主水道バルブの閉鎖: 水漏れが発生した場合、まず最初に建物全体の主水道バルブを閉めます。これにより、漏水が広がるのを防ぎます。
個別のバルブの確認: 漏水箇所が特定されている場合は、その箇所の個別バルブを閉じます。例えば、キッチンやバスルームの下にあるバルブを確認します。
b. 電気の確認
感電防止: 水漏れが電気設備に及ぶ可能性がある場合、ブレーカーを落とし感電リスクを避けます。
2. 緊急修理
専門業者の連絡先を事前に用意しておき、迅速に対応できるようにします。
a. 信頼できる業者への連絡
24時間対応の業者: 緊急事態に対応できる24時間営業の配管業者を事前にリストアップしておきます。
迅速な対応: 業者が到着するまでの時間を短縮するため、状況を的確に説明し、必要な工具や部品を持参してもらいます。
3. 被害拡大防止
漏水が発生した場合、被害を最小限に抑えるための措置を講じます。
a. 水の排出
バケツやタオルの使用: 漏れた水をバケツやタオルで吸収し、さらに被害が広がらないようにします。
床の保護: 水が床に浸透しないように、できるだけ早く拭き取り、乾燥させます。
b. 保険の確認
保険の適用範囲を確認: 水漏れによる損害が保険でカバーされるか確認し、必要に応じて保険会社に連絡します。
4. 入居者への対応
入居者に対して適切な対応を行い、信頼関係を維持します。
a. 迅速な連絡
状況の報告: 水漏れ発生時には、速やかに入居者に報告し、対応策を説明します。
一時避難の手配: 重大な水漏れの場合、入居者が一時的に避難できる場所を提供します。
b. 定期的な情報提供
進捗状況の共有: 修理の進捗状況を定期的に入居者に報告し、安心感を与えます。
サポートの提供: 入居者の質問や不安に対して迅速に対応し、サポートを提供します。
5. 予防措置の見直し
トラブル発生後は、再発防止のための対策を検討します。
a. 点検の強化
定期点検の頻度を増やす: トラブルが発生した原因を分析し、点検の頻度や範囲を見直します。
配管の交換や修理: 老朽化した配管やバルブを早めに交換し、再発を防ぎます。
b. 入居者教育の充実
日常的なチェック方法の指導: 入居者に対して、簡単なチェック方法やトラブル発生時の対応法を再度説明します。
予防措置の啓発: 配管に関する予防措置や注意点を定期的に啓発し、入居者の意識を高めます。
まとめ
これらのメンテナンスを私が100%できているかと言われれば、答えはNOです。まずは契約書への記載や、業者による定期メンテナンスの契約など、できることから着実に実行していこうと思っているところです。
配管の寿命を延ばすためには、日常的なメンテナンスが欠かせないことは明らかです。定期的な目視点検、水圧や水質の管理、排水管の清掃、季節ごとの対策、そしてプロの点検を組み合わせることで、配管の劣化を防ぎ、物件の価値を保つことができます。
また、信頼できる配管業者を見つけることで、トラブル発生時にも迅速かつ適切な対応が可能となります。
賃貸物件の配管メンテナンスは大家にとって厄介な課題です。定期点検契約や入居者への啓発、スマートテクノロジーの導入など、多角的な対策を講じることで、物件の状態を把握し、トラブルを未然に防ぐことができます。
大家自身も定期的に物件を訪問し、入居者とのコミュニケーションを大切にすることで、安心して賃貸運営を行うことができるでしょう。
大家として、これらのメンテナンスを実践し、安心して物件運営を続けていきましょう。
どれだけ予防措置を講じていても突発的な水のトラブルは避けられないこともあります。そんなときは事前の準備と迅速な対応が被害を最小限に抑えるための鍵となります。
定期点検や入居者への教育を徹底することで、トラブルの発生を防ぎ、発生時には迅速に対応することが肝要です。
信頼できる配管業者との関係を築き、適切な予防策を講じることで、大家としての信頼性を高め、安心して賃貸運営を続けることができるでしょう。
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