FIREに必要な投資額は8000万円!?

不動産投資

不動産投資を始める人の中にはFIREを目指している人も多いのではないでしょうか?

FIREとはファイナンシャル・インディペンデンス、リタイア・アーリー(Financial Independence, Retire Early)の略で、経済的な独立を達成し、早期にリタイアすることを目指すライフスタイルのことです。

私自身はFIREというよりは“不動産で生涯現役”を目指しているので、当ブログでFIREという言葉はあまり使ってはいません。しかし、不動産で自分年金を生み出すシステム構築を推奨しているので意味的にはFIREに近いかもしれません。

FIREを目指す人々にとって、リタイア後の生活費をどのようにまかなうかは大きな課題です。そこで登場するのが「4%ルール」です。

今回は、この4%ルールを不動産投資に適用し、不動産投資でFIREするための投資額はいくら必要か?について解説します。

4%ルールとは?

4%ルールは、ファイナンシャル・インディペンデンス、リタイア・アーリー(FIRE)を目指す人々にとって、リタイア後の生活費を安全に取り崩すためのガイドラインです。

このルールに従うと、リタイア後に資産を長期間にわたって維持しながら生活することが可能となります。具体的には、4%ルールは次のような形で運用されます。

・必要な資産額の計算

まず、自分がリタイア後に必要とする年間生活費を見積もります。例えば、年間生活費が400万円であれば、4%ルールに基づいて必要な資産額は次のように計算します。

必要な資産額=年間生活費÷0.04=400万円÷0.04=1億円

1億円の投資元本を4%で運用することができれば、元本を減らすことなく永遠に年間400万円のキャッシュが手に入るという理論です。

・投資ポートフォリオ

4%ルールを支えるためには、適切な投資ポートフォリオが必要です。通常、株式と債券のバランスの取れたポートフォリオが推奨されます。例えば、株式60%、債券40%のようなバランスです。このポートフォリオは、長期的な成長を見込みつつ、リスクを分散させることを目的としています。

4%ルールは、過去の市場データに基づいており、90年代にトリニティスタディと呼ばれる研究によって広く知られるようになりました。この研究では、歴史的な市場パフォーマンスを基に、4%の取り崩し率が高い確率で30年間以上にわたって資産を枯渇させないことが示されました。

しかし、不動産投資においては、少し違った数字による計算が必要です。

不動産投資は5%ルール!?

不動産投資によるFIREを目指す場合、以下の手順で必要な投資額を算出します。

・必要な年間生活費の計算

まず、リタイア後に必要な年間生活費を見積もります。この例では、年間生活費が400万円とします。

・必要な年間キャッシュフローの計算

不動産から得られる年間キャッシュフローが、必要な年間生活費をカバーする必要があります。この例では、400万円です。

・不動産投資による年間収益率の設定

4%は日本の収益不動産市場を見る限り、低すぎると思われるので投資物件の純利回り(年間収益率)を5%と仮定します。

不動産の純利回りを5%とする根拠は以下の通りです。

■実際の不動産市場における利回り

不動産投資では、物件の種類や場所によって利回りが異なります。多くの都市部では4%から6%の純利回りが一般的です。5%という数値は、この範囲の中間値であり、リスクと収益のバランスを考慮した現実的な数値です。

■経費や管理費の考慮

不動産投資には、物件管理や修繕、税金などの経費が伴います。これらを差し引いた純利回りが5%であれば、手取りの収益として適切な水準と考えられます。

■リスクとリターンのバランス

純利回りが5%であれば、リスクとリターンのバランスが取れた投資先として評価できます。リスクが高すぎる投資先では高利回りが期待できるかもしれませんが、安定性が損なわれます。一方、リスクが低すぎる場合は、利回りも低くなります。

■実践的なアプローチ

4%ルールは、主に株式や債券などの伝統的な投資手段に基づいていますが、不動産投資では異なる特性があるため、5%の利回りを適用することで、より現実的な見積もりができます。

純利回りは、家賃収入から経費や管理費、修繕費などを引いた後のネット収益を、物件の購入価格で割ったものです。

・必要な不動産投資額の計算

必要な年間キャッシュフローを得るためには、どれだけの投資額が必要かを計算します。

必要な投資額=年間キャッシュフロー÷年間収益率=400万円÷0.05=8000万円

これにより、FIREを達成するためには不動産投資に8000万円が必要であることが分かります。

ポートフォリオの多様化

不動産にしても株にしてもそうですが、FIREした後であっても、随時ポートフォリオの見直しは行う必要があります。安定した収益を生み出すためにはポートフォリオを多様化して安定させることが大切です。

不動産投資におけるポートフォリオの多様化は、リスクを分散し、安定した収益を確保するために重要な戦略です。多様化と管理を適切に行うことで、投資全体のパフォーマンスを向上させることができます。

・地域の多様化

異なる地域に投資することで、地域特有のリスクを分散できます。一つの地域で経済的なダウンターンが起こった場合でも、他の地域での投資がリスクを軽減します。

都市 vs. 郊外: 都市部の物件は通常、需要が高く安定した収益をもたらす一方、郊外の物件は比較的低価格で購入でき、高い利回りを期待できます。

異なる都市: 一つの都市に集中するのではなく、複数の都市に投資することで、地域ごとの経済変動や人口動態の影響を分散させます。

・物件タイプの多様化

異なるタイプの物件に投資することで、各物件タイプ特有のリスクを分散します。

住宅 vs. 商業用: 住宅物件は安定した家賃収入を期待できますが、商業用物件は高い利回りが期待できます。ただし、商業用物件は経済状況により影響を受けやすいです。

アパート vs. 一戸建て: アパートは複数のユニットから収益を得るため、空室リスクが分散されます。一方、一戸建てはメンテナンスコストが低い場合があります。

・投資手法の多様化

直接投資と間接投資を組み合わせることで、多様化を図ることができます。

直接投資: 自身で物件を購入し、管理する方法です。直接の収益を得る一方で、管理の手間がかかります。

間接投資: リート(不動産投資信託)や不動産ファンドを通じて投資する方法です。管理の手間は少ないですが、管理費用や運用費用が発生します。

収益の再投資

不動産投資から得られる収益を再投資することで、ポートフォリオを拡大し、収益を増やすことができます。毎年のキャッシュフローの一部を新たな物件購入に充てることで、収益源を増やす戦略です。

また、不動産はインフレに強い資産とされていますが、家賃収入もインフレに応じて調整することが重要です。市場の状況に応じて家賃を見直し、収益の減少を防ぎます。

・再投資のメリット

複利効果: 再投資を行うことで、得られた収益がさらに収益を生む「複利効果」が働きます。これにより、資産がより早く成長します。

ポートフォリオの多様化: 新たな物件に投資することで、物件の種類や立地を分散し、リスクを軽減することができます。

収益源の増加: 収益物件が増えることで、安定したキャッシュフローを確保しやすくなります。

・再投資の具体例

新たな物件の購入: 例えば、年間キャッシュフローが400万円の場合、その全額を頭金として新たな物件を購入します。これにより、家賃収入が増え、さらに多くのキャッシュフローを生み出します。

既存物件の改善: 収益を使って既存物件のリフォームやアップグレードを行うことで、物件の価値を高め、家賃を上げることができます。これにより、収益が増加し、再投資のサイクルが強化されます。

まとめ

FIREを目指すための不動産投資では、必要な年間生活費をカバーするために、8000万円の投資が必要となることがわかりました。不動産投資家にとっては「意外と少ない投資額でFIREできるんだ…」といった印象を持たれた方が多いのではないでしょうか。

FIREすることが目的ならば、無暗にリスクを取って規模拡大してメガ大家やギガ大家を目指す必要はないということです。

4%ルールを参考にしつつ、ポートフォリオの多様化や適切な管理、収益の再投資、インフレ調整などを行うことで、安定した収益を確保し、経済的な独立を達成することができます。

これからFIREを目指す投資家は、自身のライフプランに合わせた詳細な計画を立て、不動産投資を通じて夢のリタイア生活を実現しましょう。

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